【リスポで交わす「おー どうも」】
今年、創業50周年を迎えたタウンモールリスポ。小名浜の商業の中心として長年市民に愛されているショッピングセンターです。そのリスポが来年の1月15日を持ってその長い歴史に幕を降ろすことが先月発表されました。両親がお店を出していたこともあり、子供のころからしょっちゅう通っていた僕としては、ショックを通り越してよく分からない心境です。あの場所がなくなるという事実は受け入れられても、まだ当たり前のようにそこにあるので全く実感がありません。でも確実に来年頭で閉館し、その後解体されてしまうのです。
なくなったらどうなるのだろうという切り口ではなく、リスポの小名浜での存在について書こうと思います。リスポは、地元の個人商店が集結してできた全国でも珍しいタイプのショッピングセンターです。僕が子供の頃の80年代後半から90年代前半は、ファミコンブーム、ジャンプコミックブーム、CDミリオンセール連発の時代で、リスポ(当時の名称は小名浜名店街)と隣の小名浜ショッピングセンターは大盛り上がり。子供達を始めたくさんのお客さんで大賑わいでした。
時が流れ、賑わいの中心が鹿島地区に移動し、リスポ周辺は徐々に寂しくなっていきました。
しかしリスポは昔ほどの賑わいでは無いけれど、平日の午前中は、あの広い駐車場がほぼ満車です。じいちゃんばあちゃんがたくさん来館します。リスポの建物は老朽化しています。リスポもお年寄りです。じいちゃん(もしくはばあちゃん)のリスポに、じいちゃんばあちゃんが訪れます。特に買い物する用事がなくても、お店の誰かやお友達に会いにふらっと会いに行けるリスポは貴重な場所だと思います。顔見知りのつながりの歴史がないとこれは実現できません。もはやリスポは、買い物するだけのショッピングセンターの域を超え、理想のコミュニティスペースとして成り立っていると言っても過言ではありません。
『誰かに会える』。すごく当たり前の事のようですが、これがなかなか難しい。ふらっと好きな時に行って、誰か顔見知りに「おー どうも」と言葉を交わす。何気ないけど、これってすごく大事だと思います。
そんなリスポが来年には無くなってしまう。みんなどこに行くんだろうかと考えてしまいます。小名浜のまちにとってリスポの喪失は、想像できないくらい大きいものなのかもしれません。
日に焼けたパステルカラーを身にまとい、リスポは明日もそこにいます。
(文・高木市之助)
ps:今日リスポに行ったら、「年金応援ポイント3倍セール」をやっていました。
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